2025年4月8日、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者に授与される科学技術分野の文部科学大臣表彰に、通信情報システムコースの橋本昌宜教授が選ばれました。
受賞名
令和7年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)
「ソフトエラーの克服に向けた高信頼集積回路設計技術の研究」
受賞業績概要
AIや自動運転の進展に伴い、二次宇宙線によるソフトエラーが信頼性を左右する最大要因となりつつあるが、ソフトエラー評価に利用できる中性子源の不足に加え、ミューオンによる誤動作も懸念される。また、従来の三重化による高信頼化は高いコストが課題である。
本研究では、ソフトエラーの評価と対策に関する集積回路設計技術の開発に取り組み、任意の中性子源を用いて地上ソフトエラー率を求める手法を開発した。負ミューオンにより大規模な同時ビット反転が発生することを世界で初めて観測した。構成要素毎に柔軟な冗長構成が実現できる再構成可能チップを開発した。
本研究により、ソフトエラー評価に利用可能な中性子源の数を大幅に増加させた。ミューオン起因ソフトエラーが先端プロセスで脅威になりうることを明らかにした。オーバーヘッドを小さく抑えつつ、高信頼なアプリケーションを1チップで実装することが可能となった。
本成果は、集積回路のソフトエラー評価と対策設計技術の高度化を通じて、情報化社会システムの高信頼化に寄与することが期待される。