講演要旨

脳から心を読む技術:脳情報デコーディング

神谷之康(ATR脳情報研究所 神経情報学研究室 室長/奈良先端科学技術大学院大学 計算神経科学講座 客員教授)

「脳から心を読む機械」は古くからフィクションに登場しますが,その可能性が科学的議論の対象となったのは,ごく最近のことです.脳の信号は心の状態や行動をコード化している「暗号」と見なすことができます.そして,その暗号を解読(「デコード」)することが脳から心を読むことにつながります.私の研究室では,コンピュータサイエンスの分野で開発されている機械学習を応用して,身体や心の状態に関するさまざまな情報を脳信号パターンからデコードする方法の開発を進めています.本講演では,人が見ているものイメージしたもの脳活動パターンからデコードする方法を中心に紹介しながら,ブレイン-マシン・インターフェースや情報通信への応用など,この技術の可能性について議論します.

情報通信技術は医療をどう変えようとしているのか?

黒田知宏(京都大学医学部附属病院 医療情報企画部/ 京都大学大学院情報学研究科 社会情報学専攻医療情報学講座)

1999年の電子カルテ解禁以降、臨床現場の情報化が急速に進み、今やコンピュータ無しでは臨床業務が成り立たない状況になってきました。 臨床業務は情報交換の連続ですから、情報化によって大量の情報が電子的に蓄積されるようになり、この情報の解析によって様々なことが分かりつつあります。 この講演では、情報通信技術が、今、医療をどう変えようとしているのか、またどういった情報技術が求められてきているのかを、ご紹介します。

機械学習技術によるビッグデータチャレンジ

上田修功(NTTコミュニケーション科学基礎研究所 機械学習・データ科学センタ代表/国立情報学研究所 客員教授)

近年、多種多様なデータを利活用して新たな価値にするためのビッグデータ分析が注目されています。また、その分析の基盤技術として、機械学習技術が有望視されています。本講演では、機械学習技術に基づくビッグデータ分析技術と諸分野でのビッグデータチャレンジについてご紹介します。