平成25年度

知能情報学専攻 奥乃博教授(知能メディア講座 音声メディア分野)が2013年4月に文部科学大臣表彰を受賞されました

奥乃博教授

奥乃 博(おくの ひろし)

知能情報学専攻 教授

平成25年4月 文部科学大臣表彰受賞

— この度の文部科学大臣表彰(科学技術賞)受賞おめでとうございます.この賞の概要について教えて下さい.

文部科学省が,科学技術に関する研究開発,理解増進等において顕著な成果を収めた者を表彰するものです.科学技術賞は,我が国の科学技術分野において顕著な功績をあげた者を対象としています.(文部科学省ホームページより引用)私は京都大学からの推薦で受賞しました.

 

— 本賞において顕彰された先生の業績およびその意義について,分かりやすく簡明にご説明下さい.

20世紀のヒューマノイドロボットにはマイクロフォンは装備されていましたが,実際にはほとんど使われておらず,耳がない状態でした.2000年にロボットに装着されたマイクロフォンで音を聞き分ける「ロボット聴覚」の概念を提案し,最初は人と同じように2本のマイクロフォンで3名の同時発話を聞き分けるシステムを開発しました.この両耳聴システムは柔軟性に欠けるので,8本のマイクロフォンを導入し,ロボットの形状に応じて任意にマイクロフォンアレイが構成でき,事前に準備すべきデータを削減した可搬性の高いロボット聴覚ソフトウェアHARKをHRI-JP(Honda Research Institute Japan)と共同で開発するとともに,ノートPC1台で3人の話者が同時に発話した料理の注文を受け付ける聖徳太子ロボットを世界で初めて開発しました.さらに,HARKをオープンソースで公開し(http://www.hark.jp/),無料講習会を国内外で8回開催して,世界のロボットの聖徳太子化に努めてきました.

 

— 今後の先生のご研究の発展,またその将来像について教えて下さい.

「聞き分ける」機能を,人とロボットや人とコンピュータとのインタラクションに応用するという研究が徐々に広がりを見せていますので,私たちは,聞き分ける技術を必要とする他の研究分野に水平展開していく予定です.例えば,カエルの合唱や野鳥の合唱を聞き分け,それを通じて合唱機構の解明に貢献する,あるいは,救援活動に使われる無人ヘリコプタロボットやホース型ロボットに聴覚機能,特に聞き分ける機能を装備させることなどに挑戦していきます.これを通じて,視覚情報と比較してこれまであまり活用されていなかった音情報を使い,安全安心な社会構築のための基盤技術を確立していきたいと考えております.

 

— どうも有難うございました.今後のご研究のますますのご発展をお祈りします.