統計数理研究所
 
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統計数理研究所と京都大学大学院情報学研究科の包括的な研究・教育に関する協力協定締結記念

公開シンポジウム


 この度、統計数理研究所と京都大学大学院情報学研究科は、情報学と統計数理にまたがる広い視野からの科学・技術の学術的基盤の形成と人材育成に貢献することを目的とし,研究・教育に渡る包括的な協力を行うための協定を締結いたしました。両者はこれまでも、機械学習・スパースモデリング・データ同化など広範な分野にわたり個々の研究者のレベルでは浅からぬ交流関係に有りましたが、協定の締結を期に、教育という観点も含め、組織として協力関係を深めていく所存であります。その第一歩として、下のような公開シンポジウムを開催することとなりました。多数の皆様のご来聴をお待ちしております。







プログラム


アブストラクト

福水健次 (統計数理研究所教授)
近年、データの位相的・幾何的情報を抽出する新しい方法として位相的データ解析(TDA)が注目されている。TDAにおいては位相情報をパーシステントホモロジーによって捉えるが、その表現としてパーシステント図という2次元プロットがよく用いられる。本講演では、TDAに系統的な統計的データ解析手法を導入する目的で、パーシステント図をベクトル化するための新しい機械学習の方法を紹介する。この方法では,パーシステント図を離散測度と捉え,正定値カーネルを用いたカーネル平均埋込みによってパーシステント図をヒルベルト空間上のベクトルとして表現する.パーシステント図の解析に適したカーネルとしてPersistence weighted Gaussian kernelを導入し,安定性定理を示すとともに,計算効率化のための近似手法を議論する。また、提案したカーネルを物質科学と生物データに適用してデータ解析を行った事例を紹介する。
本講演内容は,草野元起氏,平岡裕章氏(東北大学)との共同研究による。

   集合知で挑むビッグデータ解析
鹿島久嗣 (京都大学大学院情報学研究科教授)
機械学習をはじめとするデータ解析技術の進歩が実世界において様々なブレークスルーを起こしている一方で、ビッグデータの解析や処理のプロセスはいまだ極めて労働集約的であり、これらを行うことのできるスキルと人手をいかに調達するかが重要な課題となっています。この人的ボトルネックの問題を解消するための有望なアプローチの一つが、さまざまな知識やスキルをもった人々を集結して問題解決を行う集合知の考えであり、クラウドソーシング等のプラットフォームを利用して実現可能になってきています。本講演ではビッグデータ解析・処理を集合知によって実現するための要素技術や適用事例を紹介するとともに、人間と機械の協働問題解決などの今後の方向性についても述べます。

村上 章 (京都大学大学院農学研究科教授)
土木工学では1980年代半ば頃、水文学・構造工学・地盤工学の分野でカルマンフィルタによるパラメータ同定の研究が始まりました。これは地球科学などの他分野におけるデータ同化研究とほぼ同時期であると思われます。土木工学ではカルマンフィルタ以外の手段を含めて「逆解析」という呼称を用いてきましたが、非線形カルマンフィルタの出現により「データ同化」という名称も逆解析を包含する形で併用するに至っています。本講演では、カルマンフィルタによる逆解析/データ同化の土木工学分野における応用について、最新の事例を含めて紹介します。

   現場主義統計と生物多様性
島谷健一郎 (統計数理研究所准教授)
生物多様性は、森、草原、海、渓流、高山、湖沼、あるいは実験室内や顕微鏡を通して生き物や生命について現場で観て学ぶのが原点です。しかし、見て感動するばかりでは、生物多様性の理解につながりません。データ「も」使って自然を観る。モデル「も」使ってデータを観る。ロジスティック回帰やクラスター解析を生物多様性を観るために利用する。現場・データ・モデルをらせん状に行き来して理解を深めていく。そんな試みを紹介します。

   スパースモデリングの数理と応用
田中利幸 (京都大学大学院情報学研究科教授)
スパースモデリングは、見かけ上の高次元データのなかから本質的な低次元構造を抽出することを目指すモデリングの方法論で、科学の様々な領域において、その重要性が注目されています。圧縮センシングは、劣決定的な連立一次方程式について、解がスパースであることを仮定してそれを解くことを議論する主題であり、スパースモデリングのなかで近年もっとも活発に研究が行われています。本講演では、講演者自身の研究を中心に、圧縮センシングの問題を大規模統計モデルにおける推論の問題として捉え、情報統計力学のアプローチにより解析する研究について述べるとともに、圧縮センシングのいくつかの応用事例を紹介します。

参加に関する詳細
会場の収容人数の制限がありますので、参加を希望される方は、下のリンクより登録をお願いたします。収容人数の制限を越えた場合は、やむを得ず参加して頂けないこともあります。予めご了承下さい。
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会場アクセス:このリンク先の地図の69番の建物
問い合わせ先:ism-kyisympo@i.kyoto-u.ac.jp